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大阪地方裁判所 昭和54年(コ)86号 決定

【主文】

本件につき、昭和五五年八月二五日の債権者集会期日において、可決された別紙和議条件による和議は、これを認可しない。

【判旨】

一債務会社の提供した前記和議条件による和議は、昭和五五年八月二五日開催の和議債権者集会期日において、法定多数の和議債権者の同意により可決された。

二しかしながら、本件和議は後述の理由により、その決議が和議債権者の一般の利益に反すると認められ、これを認可するのは相当でない。

1 整理委員作成の意見書並びに整理委員及び管財人作成の報告書によれば、次のような各事実が認められる。

(一) 債務者会社は、和議開始前の保全処分として債務の弁済禁止及び金員の借入行為禁止の決定を受けているにも拘らず、昭和五五年一月二五日より同年七月一〇日までの間に、和議債権者の一部である水野忠幸及び田中一夫外数名に対し、合計一九、三一一、七六五円位の債務の弁済をなし、また同年七月一〇日現在で五九、八二七、六四〇円の金員の借入れをなす等、重大な保全処分に違反する行為を行つており、右所為により債務者会社の経営状態は、和議開始申立時より一層悪化していると認められる。

(二) 債務者会社においては、和議開始申立前の帳簿その他営業状況を知る上で重要な書類に著しい不備があり、従前粉飾を重ねていたものと認められるうえ、申立後においても正確な計算書類等を作成せず、正確な営業状況の把握が困難な状況にある。

(三) 和議管財人による調査の結果によれば、債務者会社の、本件和議開始申立後である昭和五四年一二月一〇日より同五五年六月一〇日までの間の売上額は合計六〇、四六二、九三八円であり、これに対する仕入費用その他経費は合計七七、〇一二、八三三円で、収支合計は一六、五四九、八九五円の損失であり、前記のような事情その他債務者会社の営業状況に鑑みれば、その経営内容が今後急激に好転しうるとは予想し難い。

2 以上の各事実を総合すれば、債務者会社において、本件和議を成立させて会社の再建を図り、誠実な和議条件の履行による公平な和議債権の弁済をなす意欲を有するとは到底認められず、また債務者会社において、和議条件を履行する能力は存しないといわざるを得ない。債務者会社の代表取締役宮内廣行において、和議条件の履行につき連帯保証し、またその担保のため同人所有の家屋一筆を提供しているが、同人の資力及び担保物権に評価額をはるかに超える根抵当権が設定されていることからみて、これにより和議条件の履行が確実になされるものとは考え難い。

三よつて、和議法五一条四号により、本件和議を認可しないこととし、主文のとおり決定する。

(伊藤新一郎)

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